細菌やウイルスなどの病原体に負けない身体づくりに欠かせないのが「免疫」。体内の免疫細胞の50%以上が集まっている腸は、人のからだの中では最も大きな免疫器官といわれてます。その中でも、「パイエル板(ばん)」といわれる、とっても重要な免疫システムをご紹介します。腸ってすごいです。
出典：乳酸菌生成エキス研究室
パイエル板…あまり聞き慣れない名前ですね。どこにあるのかといいますと、ヒトをはじめとした哺乳類の小腸の腸管の上皮の内側の粘膜にあります。一般的には直径4～5cm、幅1cmの楕円形の「集合リンパ小節」で、大人には約100個ほどあるといわれています。このパイエル板には、全身から免疫細胞が集まっています。
ざっくり書くと、こんなメカニズムです。
小腸の中を物が通る
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腸管にあるM細胞という特殊細胞が「抗原」(＝からだの中に入ってきた病原体などの異物)をパイエル板に誘導
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そこで待つ免疫細胞(樹状細胞、T細胞、B細胞など)に情報が伝わる
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この情報で病原体をやっつけるためのぴったり合ったオーダーメイドのような「抗体」が作られる
※なぜパイエル”板”かというと、パイエル板のあるところはヒダ(絨毛)があまりなく平らになっているからだそう。
このように、ヒトに有害なモノや病原菌から体を守ってくれる免疫細胞たちと密接に関わっているのが「腸内細菌」です。たとえば、乳酸菌を取り込むと免疫細胞が刺激され、活性化することがわかっています。受験生の体調管理対策にR１ヨーグルトがよく売れているのもこういったことからです。
人工甘味料、防腐剤、保存料、酸化防止剤などの化学合成添加物は、腸内細菌にダメージを与えます。「インスタント食品やジャンクフードなどがからだに良くない」といわれるのは、添加物まみれの食べ物や栄養バランスの偏った食事で腸内細菌のバランスが乱れることで、このパイエル板の働きが悪くなり免疫力も下がる、という理由からです。腸内環境を整えるため、善玉菌を増やす食物繊維やヨーグルト、納豆などの発酵食品が重要になってくるんですね。
また、栄養素のビタミンB1が不足すると、パイエル板の抗体をつくるのに必要な免疫細胞の数が減ってしまうそうです。ビタミンB1は水溶性なので、体内に蓄積することができず、不足しやすいビタミンです。甘いものやパン、ごはんなどの糖質ばかりを摂っていると、代謝に使われどんどん不足してしまいます。
免疫を高めるためにも、ビタミンB1を積極的に摂ってみてください。ビタミンB1は豚肉、ノリ、うなぎ、豆、玄米に多く含まれます。
